Author's Preface in Japanese

 ロックポスターが誕生してから50年以上が経つ。それ以来、数え切れないぐらいのポスターが、安易な定義の境界線を越え、進化し、スタイルを変えてきた音楽を祝しながら貼られてきた。かつてシンプルで簡単なものと思われてきたポスターのヴィジュアルスタイルは、多様性のある作品の根幹を包容しながら、同じルーツからわき上がってきたとは思えないほどに進化してきた。

 サイケデリック時代のリッチで強烈な50年代初期の正統派長方形ポスターから始まり、荒涼で緊迫感のあるパンクのフライヤーまで、ポスターは進化し続け、創り出してきた「時代」を反映している。ここ12年間は、真のルネッサンスの始まりと位置づけられる。アートポスター制作が満開の時を迎えているこの時代に生きる特権を、僕らは与えられているのだ。過去40年間に創られたよりも、今、この時代にそれ以上のポスターが作られている。なぜか? この間断なく続くユニークな出来事が、この起きるのが当然といったようなこの出来事はなにか? 僕らがこの本で答えようとしているのは、この質問への答えなのだ。それは冒険でもあり、体験でもあった。世の習いで、多くの先入観が路傍で真実を探求する僕らに崩されていった。そしていつものように、僕らは結局のところ出発地点よりも、もっと刺激的な場所にたどり着いたのだ。

デニス・キング